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VOL.3
STORY-6
体にも心にも優しい「本当の美味」に出逢う
湯葉の発祥の地「比叡山延暦寺」御用達

ゆばは大豆と水から作られるシンプルな食材。それだけに少しのことで味が影響されるため、素材と工程を吟味する卓越した目が作り手に要求される。ゆばの製法はまず大豆を一晩水に浸し、すり潰す。その大豆を湯釜に入れて熱して濾すと豆乳とおからに分かれる。こうしてできた豆乳を縦三メートル、横二メートル弱の大きさのゆば釜で熱する。窯の中は三十二の升目に仕切られていて、それぞれの升の表面に出来た皮膜を細い竹串ですくい上げると一枚のゆばの完成となる。一枚のゆばができるまで十分~十五分程度かかりますが、天候や気温、湿度などによってその日の表情が変わるのでゆば職人の熟練の技が必要となるのである。いつも真剣勝負。毎日が一期一会。

原料の大豆は米どころ近江の良い土壌に育まれた良質の滋賀県産大豆を使用。ゆばの栄養分は主にタンパク質と油脂。大豆は「畑の肉」と言われるほどの良質なタンパク質を含んでおり、修行僧が肉や魚の代わりに食べていたというのも納得である。大豆はビタミンB群やE群を多く含んでいる食材でもある。
今回ご紹介した「比叡ゆば本舗 ゆば八」はなんと比叡山延暦寺御用達の格式のあるゆば屋さんである。約千二百年前、比叡山延暦寺開祖 伝教大師最澄により日本に初めてゆばの製法とお茶の種が伝えられたと言われている。「安政元年、京都の大火で御所が炎上し、孝明天皇が聖護院を仮皇居とされた際、八木家の祖先がゆばを作り、お召し上がられたそうで、孝明天皇、明治天皇共に大変お気に入りだったと伝え聞いております。」その際に使用された皿一組が今も家宝として大切に所蔵されているという。
「念ずれば夢叶う―」
八木社長の話を聞くなかでこの言葉ほど説得力のある言葉は見当たらない。現在に至るまで数々の難題、試練にぶち当たるも沢山の人々に支えられ今日まで走り続けてきたという。昭和十五年に「ゆば八商店」として創業。当時から比叡山延暦寺の御用達としてご縁があり、了解を得て「比叡ゆば」ブランドを立ち上げる。平成六年にご主人である先代の社長が急逝し、意思を継いで三代目に就任したという。ポジティブさの根底にあるのはゆばに人生を捧げた家族への尊敬と愛情。「比叡ゆば」に対する愛。周りのすべての人々に対する感謝。
平成二十六年三月二十二日にオープンした滋賀県守山市の新工場は生湯葉の製造工程において国際的な食品安全マネジメントシステムであるISO/FSSC22000の認証も取得。店内では生ゆばの試食もできる。最近では八木社長と親交のある世界的スーパーシェフのNOBUこと松久信幸氏も本店を訪れ、ゆば揚げ体験や出来たてゆばの試食などを楽しまれたとか。そんなスーパーシェフさえも魅了する伝統食材。ヘルシー志向の高い海外において健康食材である大豆を使ったゆばは、今後益々注目される食材ではないでしょうか。日本食が世界中に拡がる中で味覚や食感の違いという壁を料理人の腕とアイデアで開拓し、新たな市場が生まれていく。こんなに素晴らしい食材が長い歴史の中で中国から伝わり、日本で愛されてきた。先人たちの知恵と努力によって進化しながら人々を魅了し続けている。八木社長のパワーの源「比叡ゆば」はこの先も沢山の人々においしさと健康を届けていくことだろう。
   
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